神はいたとしても救世主はこの世にはいないのだろう

僕が初めて後ろを振り返ったときのことを君は覚えているだろうか。

あの時君は僕の話を聞かずにただただ「ごめんなさい気持ち悪いですよね」なんて言葉を何度も何度も繰り返していたんだ。もちろん君がしてきたことは気分のいいことではないと思っていたし、できることなら改めてほしいと思っていた。だけど僕はそれ以上に君という人間を知ってみたいと思っていたんだ。それを君が理解してくれたのはずいぶんと日が経ってからだったよね。理解してくれた君は、「寂兎君って不思議な人だったんだね」と目を丸くしていたっけ。自分でもおかしいことをしていたとはわかっていたよ。僕たちはお互い、他人からの忠告なんてものを聞けない人間だったらしいから。

でもそういう選択があったから僕はいまの僕になれたと自分で思うし、君も今の君になったのだと思う。そういう今が君を苦しめてしまうことになっているのだということも知ってる。それでも後悔はしていないんだ。こうなってしまった理由が僕であるということはよくわかっているけれど。それをわかっていながら僕はさらに君に追い打ちをかけようなんて考えているんだ。最低だとなじるかい?

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