この話はこれで終わり。解散。…あれ?

そしてとうとう節理も彼女を拒否する時が来た。

「本能」に行き止まりを提示された沙耶は、己の姿を知覚することも感情を覚えることもなく、ただただ完全な死を迎える。本当に愛を全うする瞬間だった。こんな形にはなったが、きっと満たされることだろう。本当に彼女がそう思っているかはもうわからないからさておいて。

というわけで、松嶋沙耶の話はこれで終わりだ。

一度きりの人生というものの尊さを、体を張って証明した物語だった。この先もこの話は他の胎児たちの中でも寓話として流れることだろう。「過去のしがらみなどを覚えているとろくなことはない」ということで。…え?それで話が終わるとは限らないって?

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