2018.10.31 12:00プロローグ はじめて「それ」が僕の背後に憑くようになったかは具体的にはよく覚えていないが、気が付いたら「それ」は僕の背後にしがみついていた。 中学校、いや小学校を上がったころにはすでにいた。存在をなんとなく覚えている。ただ興味を持ったことはなかった。「それ」が僕に興味を持っていると知るまでは。 「それ」の名前は松嶋沙耶という。 高校に上がるころには流石に名前を認知していた。違うクラスにいる茶色の髪をしたごく普通の少女だ。噂では母親と二人暮らしをしていて、三つ下の弟が中学に通っていて、ハムスターを飼っていると聞いていた。成績は中の上、学年順位表で名前も見かけたことがある。運動は並以下でボール一つまともに投げられないことで有名だ。 僕が知っている彼女の情報はそれとあ...